文化施設

軽井沢町にある藤田嗣治の作品のみを展示する世界で初めての美術館である。サロン(87 名を収容するコンサート、レクチャー等を行うホール)とカフェを併設する。

建物は中庭を囲むロの字型形状で、外周をめぐる煉瓦積みの壁は一筆書きのように西側正面ファサードの途中で内部へ引き込まれ、中庭の外壁となる。その外壁の間をカーテンウォールで繋ぐようにして室内空間を形成している。煉瓦積みの壁で囲まれた部分が「閉じた空間」、カーテンウォールで覆われた空間が「開かれた空間」となっている。

美術館の主要空間である展示室、収蔵庫などは「閉じた空間」に内包され、外部環境から隔離されて室内環境を維持する。他方、エントランスホール、サロン、展望ラウンジや屋根裏展示室、カフェなどは、軽井沢の自然を感じながら過ごせるように「開かれた空間」に配置されている。

来館者は宙に浮いた煉瓦で覆われたボリュームをくぐってエントランスホールへと入る。中庭と一体となった天井高さ 10m のホワイエを進むと展示室の入口がある。各展示室は、展示される作品に応じて壁面の色、天井の形状、照明の手法が異なっている。鑑賞者は、藤田嗣治の作品世界に浸る「閉じた空間」と、軽井沢の自然を感じる「開かれた空間」とを往来しつつ、中庭を巡ることになる。

収蔵されている藤田嗣治の作品は、安東夫妻が 20年に渡って収集し、自宅に飾っていたものである。自宅のようなくつろいだ空間で猫や少女、聖母子の絵画を編賞し、心の安寧を得ていただきたい、との夫妻の思いがこの美術館に結実した。



美術館公式サイト「軽井沢安東美術館

[English page - Musée Ando à Karuizawa ]

DATA

所在地 長野県北佐久郡軽井沢町
主要用途 美術館
構造・構法 鉄筋コンクリート造
階数 地上2階
敷地面積 1,343.44 m2
建築面積 774.20 m2
延床面積 1363.79 m2
設計担当 武富恭美
構造設計 梅沢建築構造研究所
設備設計 環境エンジニアリング
施工会社 清水建設
撮影 走出直道
竣工 2022年7月
備考 照明デザイン:Lumimedia lab
クリエイティブディレクター:會澤浩
マーク・ロゴタイプ:寄藤文平

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