熊本県阿蘇郡の杖立（つえたて）温泉にある天保14年（1843年）創業の老舗温泉旅館の増築、改修を続けて手がけた。

離れ「同行二人」 3棟増築（2004）
杖立温泉を弘法大師が開いたとのエピソードにちなみ、同行二人（どうぎょうににん）と名付けられた専用露天風呂付離れ3棟の増築を行った。
それぞれの棟は１日の時間の流れから「朝明け」「日溜り」「月夜」と名付けられた。
内装は名前のイメージに対応して赤、白、黒というテーマカラーにて木軸部が染め上げられ、3棟それぞれに印象が異なるものとしている。
杖立川が曲がり流れが変化する立地を活かし、棟それぞれに川面の違った表情が見られるような配置、開口部の計画を行った。

母屋棟食事処改修（2007）
京都で修業した主人の創作和食料理を供する宿泊客専用の食事スペースである。
路地風の廊下を通りアプローチする。

母屋棟／恵美根の間改修（2009）
母屋の客室の改修。民芸調の客室だったが当主の代替わりと共に数寄屋風のつくりの客室に改修が行われた。
木々の緑が見える窓際にカウンターとローチェアが設けられ、眺望をより楽しめるしかけをつくった。

母屋棟ライブラリー改修（2012）
使われていなかった客室2室を宿泊客が利用できるライブラリ（談話室）に改修した。
バースペースも併設され、ワインや日本酒を楽しむ企画などが催されている。